〽︎それ伊弉諾伊弉冊（いざなぎいざなみ）、夫婦寄り合い、漫々たる和田津海に、天の逆鉾（さかほこ）降させ給い、引上げ給う其したゝり、凝り固まって一つの島を、月読日読、蛭子（ひるこ）素盞鳴（すさのお）儲け給う、蛭子と申すは恵比寿のことよ、骨なし皮なし益体無し、三年足立ち給わねば、手繰りくりくる来る船に乗せ奉れば、蒼海原に流し給えば、海を譲りに受取り給う、西の宮の恵比寿三郎、いとも賢き釣針下し、万の魚を釣りつった姿はいよ、扨しおらしや、
〽︎引けや引け引け引く物品々、様は際墨、琵琶や琴、胡弓三味線東雲（しののめ）横雲、そこ引け小車、子供達ゃ御座れ、宝引しょ宝引しょと、帆綱引っかけ宝船曳いて来た、いざや若い衆網引くまいか、沖の鴎がぱっと、ぱっと立ったは三人張の強弓、よつ引き絞りにひょうふっと射落とせばさ、浮きつ沈みつ浪に揺られて、沖の方へ引くとの、水無月半ばは祇園どのゝ祭で、山鉾飾って渡り拍子で曳いて来た、
〽︎拍子揃えて打つや太鼓の音の良さ、鳴るか鳴らぬか山田の鳴子、山田の鳴子、引けばからころ、からりころり、からりころり、からころからころからころや、轡（くつばみ）揃えて神の神馬を引連れ引連れ、勇みいさむや千代の御神楽、
〽︎神は利生を黄楊（つげ）の櫛、神は利生を黄楊の櫛、引き注連縄（しめなわ）の長き縁（えにし）を